一本のイルミネーション

毎年、蒲田教会のクリスマスのイルミネーションは道行くみなさんに好評をいただいていますが、今年はすこし薄暗いぞ、どうしたのだろう?と思われた方もいるのではないでしょうか?私たちの考えをご説明いたしますので、お読みいただければ幸いです。

11月27日からクリスマスの準備をするアドベントという時期にはいりました。クリスチャンにとって忙しいけど、ワクワクもするとても素敵なシーズンです。街にはクリスマス飾りやクリスマスソングが流されて、ワクワクしているのはクリスチャン以外の人たちにとっても同じ事のようです。教会ではお祝いの会をしたり、クリスマスの讃美歌を歌ったり、一人ずつ小さな灯りを灯して礼拝をしたりします。教会にいかなくても、毎年家族や大切な人とすてきなひと時を過ごして来たという人も少なくないでしょう。

肌寒くなってくる12月、少しでも暖かい気持ちをお届けしようと、毎年、不慣れな高所での作業をして電飾をつるしてきました。今年もみなさんとこの暖かい気持ちを共有したいと思っています。

しかし、今年の2月、戦争が始まってしまいました。私たちルーテル教会は世界的な規模で平和を訴え、苦しい状況に追い込まれてしまった人々、不本意ながら最前線に立たされている兵士たち、家族や知人を失った人たち、怪我を負ってしまった人々、命を落とした方々へ連帯し、わずかですが支援と、日々祈りに覚えてきました。今年のクリスマスはとても苦しい時間となっています。今、この瞬間も寒い中、自分や大切な人の頭の上に爆弾が落ちてくるかもしれないという不安の中にある人たちのことが頭をよぎり、クリスマスのワクワクする気持ちに沈んだ気持ちがまぎれこみます。

この戦争のために、物価が高騰、とくに光熱費が大きく値上がりし、生活を圧迫しています。ただ単にクリスマスは楽しいと浮かれてしまっていていいのだろうか?そうした思いが心をよぎります。

そこで今年のイルミネーションは「一本のイルミネーション」と銘打って教会の外と中に1本ずつ灯すことにしました。内側はイエスキリストのあたたかさ、外は小さいけれど暗い世の中を照らす光を象徴しています。イエスキリストとその家族は生まれてすぐ命の危険を避けるためエジプトへ避難しています(マタイによる福音書2章13-15節)。ウクライナでも自宅を追われ、たくさんの方が避難しています。今まで築いてきた財産を放り出して、二度と自宅に帰れないかもしれないという不安の中の逃避行です。

政府から節電要請が出ている中のクリスマス、困難な状況にある人たちを覚え、少しあかりを暗くして、静かに祈るそんな時を私たち一緒に過ごしませんか?

ただ、ずっと暗いだけでは救いがありません。12月24日のクリスマスイブの当日だけはすべてのイルミネーションに光をともして、希望のある明るい世界も表現したいと思います。

イエスキリストが生まれた日の夜、真っ暗な野原にいた羊飼いたちに天使の軍勢が現れて

「いと高きところには栄光、神にあれ、

地には平和、御心に適う人にあれ。」

と歌ったと聖書に書かれています(ルカによる福音書2章14節)。この時は羊飼いたちが恐れを感じてしまうほど、天使たちは明るく輝いていたといいます(同9節)。

クリスマスパイプオルガンコンサート後に点灯式をします。ぜひ、その瞬間を多くの方と一緒に過ごしたいと思います。

メリークリスマス!そして来年が世界中の人々が笑って暮らせる世の中になりますように!